寒い季節と死亡率
こんにちは、今回のテーマは、寒い季節と死亡率です。
「冬になると救急車のサイレンをよく聞く気がする」「寒い時期は亡くなる人が多いのでは?」と感じたことはありませんか。実はその感覚、データ的にも間違っていません。
この記事では、寒さが身体、とくに心臓や血管にどんな影響を与えるのか、そして本当に寒い季節のほうが死亡率は高いのかをデータをもとに解説します。最後に、今日からできる具体的な対策までお伝えします。
寒い季節は本当に死亡率が高いのか
結論からお伝えすると、寒い季節のほうが死亡率は高いことが、国内外の多くの統計で示されています。
日本では12月〜2月にかけて、年間死亡数が最も多くなる傾向があります。特に心疾患・脳血管疾患による死亡は冬に集中します。
一方で、猛暑による熱中症死亡が話題になりやすい夏ですが、トータルの死亡者数で見ると冬の方が多いのが実情です。
これは日本だけでなく、ヨーロッパや北米でも共通して見られる現象で、「寒冷関連死亡」という言葉が使われるほどです。
寒さが心臓と血管に与える影響
では、なぜ寒いと死亡率が上がるのでしょうか。最大の理由は、寒さによる心臓・血管への負担です。
血管が縮み、血圧が上がる
寒さを感じると、身体は熱を逃がさないように血管を収縮させます。その結果、血圧が上昇します。
冬は夏に比べて、平均血圧が10mmHg前後高くなる人も珍しくありません。
高血圧は、心筋梗塞や脳卒中の大きなリスク要因です。
心臓の仕事量が増える
血圧が上がると、心臓はより強い力で血液を送り出さなければなりません。これが続くと、心臓への負荷が蓄積し、発作の引き金になります。
血液が固まりやすくなる
冬は汗をかきにくく、水分摂取量が減りがちです。その結果、血液がドロドロになりやすい状態になります。
脱水気味の状態は、血栓(血の塊)ができやすく、心筋梗塞・脳梗塞のリスクを高めます。
なぜ高齢者ほど影響を受けやすいのか
寒さの影響は誰にでもありますが、特に注意が必要なのが高齢者です。
- 体温調節機能が低下している
- 血管の柔軟性が低下している
- 持病(高血圧・糖尿病など)を抱えている
これらが重なることで、寒さ=命のリスクになりやすいのです。
寒い季節に死亡率を下げるための対策
では、寒い季節をどう乗り切ればよいのでしょうか。ポイントは「冷やさない・無理をしない・巡らせる」です。
室内の温度差をなくす
リビングと脱衣所・トイレの温度差は、ヒートショックの大きな原因です。暖房や小型ヒーターを活用しましょう。
朝の行動はゆっくり
起床直後は血圧が急上昇しやすい時間帯です。布団の中で軽く体を動かしてから起きるだけでもリスクは下がります。
冬でも水分補給を意識する
喉が渇いていなくても、こまめな水分補給を意識しましょう。温かいお茶や白湯でも問題ありません。
軽い運動で血流を保つ
ウォーキングやストレッチなど、息が弾む程度の運動は血管の健康維持に効果的です。
激しい運動でなくて構いません。「続けられる強度」が大切です。
寒い季節こそ「健康の持続時間」を意識する
寒さは、目に見えない形で私たちの身体を追い込みます。しかし、正しい知識と少しの工夫で、リスクは確実に下げられます。
健康は「一気に失う」ものではなく、日々の積み重ねで守るものです。
寒い季節をどう過ごすかは、これから先の人生の「健康の持続時間」を大きく左右します。今年の冬から、できることを一つずつ始めていきましょう。
