認知症の治療と予防
こんにちは、今回のテーマは、「認知症の治療と予防」です。
「最近、物忘れが増えた気がする……」
年齢を重ねると、そんな不安を感じることがあるかもしれません。
認知症は、単なる「物忘れ」ではありません。記憶や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出てくる状態です。
一方で、近年は認知症の治療も少しずつ変化しています。
その象徴ともいえるニュースが、2026年9月16日にありました。
認知症の治療は変わり始めている
エーザイのアルツハイマー病治療薬「レケンビ(一般名:レカネマブ)」について、新しい皮下注射製剤「レケンビ皮下注250mgペン」が日本で承認されました。([PMDA情報](https://www.info.pmda.go.jp/psearch/PackinsSearch?count=1000&effect=119&utm_source=chatgpt.com))
レケンビは、アルツハイマー病の原因の一つと考えられているアミロイドβに働きかける抗アミロイド療法です。
すでに点滴静注製剤が使用されていますが、今回の皮下注製剤では、在宅での投与という新しい選択肢が加わることになります。
今回のポイント
レケンビ皮下注250mgペンは、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度の認知症の進行抑制を目的とした製剤です。500mgを週1回、皮下注射する用法が示されています。
これまでの点滴製剤では、原則として医療機関で投与を受ける必要がありました。
皮下注製剤によって在宅投与が可能になることで、患者さん本人だけでなく、通院に付き添う家族の負担軽減も期待されます。([株式会社じほう](https://www.jiho.co.jp/blogs/jiho-select/topics-20260903?utm_source=chatgpt.com))
ただし、承認されたからといって、すぐに誰でも自宅で自己注射できるわけではありません。
実際の使用には、医師による判断や必要な検査、安全性の確認に加え、保険制度上の手続きなども関係します。
レケンビは「認知症を治す薬」なのか
ここは非常に重要なポイントです。
レケンビは、アルツハイマー病を完全に治す薬という位置づけではありません。
対象となるのは、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)や軽度の認知症で、アミロイドβの蓄積を確認したうえで治療を検討します。([PMDA](https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/1190408A1025_1?user=1&utm_source=chatgpt.com))
つまり、「認知症になったら、とりあえずレケンビ」という薬ではありません。
❕ レケンビは、すべての認知症に使える薬ではありません。対象となる病期や検査条件、安全性などを確認したうえで、医師が治療の適否を判断します。
認知症にはアルツハイマー病以外にもさまざまなタイプがあり、原因によって治療方針も異なります。
だからこそ、「年齢のせいだろう」と自己判断せず、気になる変化があれば早めに医療機関へ相談することが大切です。
認知症は「予防」という考え方も大切
治療薬が進歩している一方で、私たちが忘れてはいけないのが予防です。
2024年のLancet Commissionでは、認知症に関連する14の修正可能なリスク因子が示されています。
高血圧、糖尿病、運動不足、喫煙、肥満、過度の飲酒、難聴、うつ、社会的孤立などに加え、LDLコレステロール高値や視力低下なども含まれています。([BMJ](https://www.bmj.com/content/386/bmj.q1723?utm_source=chatgpt.com))
もちろん、これらを改善すれば「絶対に認知症にならない」という意味ではありません。
しかし、認知症のリスクを考えるうえで、日々の生活習慣が無関係ではないことは覚えておきたいところです。
まず取り組みたいのは「身体を動かすこと」
認知症予防というと、脳トレやパズルを思い浮かべる人も多いでしょう。
もちろん知的活動も大切ですが、まず意識したいのが身体活動です。
厚生労働省も、運動習慣がある人は認知症になるリスクが低くなるとし、ウォーキングなどの簡単な運動でも認知機能低下や認知症の予防に役立つ可能性を紹介しています。([厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/content/001272358.pdf?utm_source=chatgpt.com))
「毎日1時間運動しなければ」と考える必要はありません。
まずは、
- いつもより少し多く歩く
- エレベーターではなく階段を使う
- 座りっぱなしの時間を減らす
- 散歩や早歩きを習慣にする
- 無理のない筋力トレーニングを行う
こうした小さな行動の積み重ねが、身体だけでなく脳の健康にもつながっていきます。
血圧・血糖・コレステロールも脳の健康と関係する
認知症を考えるとき、「脳だけ」を見てはいけません。
高血圧や糖尿病、高LDLコレステロールなどの血管に関係する問題も、認知症リスクと関連しています。([BMJ](https://www.bmj.com/content/386/bmj.q1723?utm_source=chatgpt.com))
だからこそ、健康診断で血圧や血糖、脂質の異常を指摘されたら、「まだ症状がないから」と放置しないことが重要です。
✓ 身体の健康を守ることは、脳の健康を守ることにもつながります。
運動、食事、睡眠、禁煙、飲酒量の見直し、生活習慣病の管理。特別な「認知症対策」だけではなく、普段の健康管理そのものが大切です。
「人とのつながり」も脳への刺激になる
意外と見落とされやすいのが、人との交流です。
家族と話す、友人と会う、地域の活動に参加する、趣味を楽しむ。
こうした活動では、相手の話を聞き、自分の考えを整理し、言葉を選び、状況を判断します。
つまり、単なる「おしゃべり」でも、実は脳をさまざまな角度から使っています。
認知症予防のために何か特別なことを始めるより、人と関わりながら楽しく身体を動かすほうが、長く続けやすいかもしれません。
認知症対策は「健康の持続時間」を伸ばすこと
認知症について考えると、どうしても「認知症にならないこと」に意識が向きます。
しかし、健康を考えるうえで本当に大切なのは、病気の有無だけではありません。
自分で歩く。自分で食べる。人と話す。好きな場所へ出かける。自分で判断する。
そうした「自分らしく過ごせる時間」を、少しでも長く保つことではないでしょうか。
それは、まさに「健康の持続時間」という考え方です。
レケンビのような新しい治療法が登場し、認知症治療の選択肢が広がっている今だからこそ、私たち自身も治療と予防の両方に目を向けたいところです。
今日からできること
まずは10分多く歩く。血圧や血糖を確認する。よく眠る。家族や友人と話す。気になる物忘れがあれば医療機関へ相談する。
大切なのは、完璧に取り組むことではなく、無理なく続けることです。
認知症への向き合い方は、「なってから考える」だけではありません。
今日の身体を大切にすることが、未来の脳を守ることにもつながります。
治療の進歩に期待しながら、私たち自身も日々の生活からできることを少しずつ積み重ねていきましょう。
まとめ
認知症は、誰にとっても無関係とは言い切れない身近な健康問題です。
現在はレケンビのように、アルツハイマー病の進行抑制を目的とした新しい治療選択肢が登場し、2026年9月には皮下注製剤の承認によって在宅投与という選択肢も加わりました。([厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260916I0080.pdf?utm_source=chatgpt.com))
一方で、運動不足、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満、難聴など、生活の中で見直せる認知症リスク因子もあります。([BMJ](https://www.bmj.com/content/386/bmj.q1723?utm_source=chatgpt.com))
「薬ができたから大丈夫」でも、「認知症になったら終わり」でもありません。
治療の進歩と、日々の予防。
その両方を知っておくことが、これからの健康を考えるうえで大切なのではないでしょうか。
健康とは、病気がないことだけではありません。
自分らしく動き、考え、楽しめる時間をどれだけ長く保てるか。
それもまた、健康の大切な指標です。
