こんにちは、Takamiです。
今回のテーマは、利き腕はいつ決まるのか?脳と発達から考えるです。
子どもと日々過ごしていると、「この子は右利きなのかな、それとも左利きなのかな」と気になる瞬間があるかもしれません。利き腕は単なる癖ではなく、脳の働きと密接に関わっています。では、利き腕は生まれた瞬間から決まっているのでしょうか。それとも成長の過程で形成されていくのでしょうか。本記事では、最新の研究や過去の習慣を踏まえて考えていきます。
生まれる前から傾向はある?
実は、胎児の段階から「どちらの手をよく使うか」が見られることがあります。エコー検査で、赤ちゃんが右手で口を触っている様子や、左手をよく動かしている姿が観察されることもあります。研究によれば、妊娠8週目頃から手の動きが確認され、15週頃には親指をしゃぶる手がほぼ固定してくるそうです。こうした胎児期の動きが、その後の利き腕につながる可能性が高いと考えられています。つまり、利き腕の“種”は生まれる前から存在するのです。
遺伝と環境、どちらが影響する?
利き腕を決める要因には、遺伝的な影響があるとされています。親が左利きの場合、子どもも左利きになる確率が高いというデータがあります。しかし、遺伝だけでは説明できません。実際、両親が右利きでも子どもが左利きになるケースは少なくありません。
また、生活環境も大きな役割を果たします。スプーンやハサミ、箸といった日常的な道具が右手用に作られている社会では、自然と右手を使う機会が増えます。その結果、本来は左利きの傾向があった子どもでも、右手を使う頻度が高まり、右利きに近い動作をするようになることもあります。
脳の構造と利き腕の関係
利き腕は、脳の働きと密接に関わっています。右利きの人の多くは、言語を司る領域が左脳に集中しています。一方で左利きの人は、右脳や両方の脳にまたがって言語機能を持つ割合が高いとされています。
このように脳の神経回路の違いが、利き腕を決める大きな要因になっています。そのため、単純に「練習すれば逆の手を使える」というものではなく、脳の構造に沿った自然な手の使い方が存在するといえるでしょう。
昔行われていた利き腕の矯正
日本を含め多くの国では、かつて左利きを右利きに矯正する習慣がありました。特に食事や文字を書く場面では「右手でなければいけない」とされる風潮が強かったのです。しかし、矯正には弊害もありました。
無理に矯正された子どもは、学習や運動においてストレスを抱えやすく、書字障害や吃音(きつおん)のリスクが高まると報告されています。これは、脳の構造と自然な動作のミスマッチが原因と考えられています。つまり、脳の働きに逆らって手を変えることは、決して望ましい方法ではなかったのです。
では、利き腕はいつ“確定”するのか?
乳幼児期の段階では、まだ手の使い方にばらつきがあります。1〜2歳頃は、右手と左手を交互に使いながら発達していきます。しかし、3〜4歳になると、次第にどちらの手を優先的に使うかがはっきりしてきます。多くの子どもは小学校に入学する頃には利き腕が明確になります。
ただし、完全に固定されるわけではありません。スポーツや楽器演奏など、両手を使う活動によって「補助的にもう一方の手も上手に使える」ようになる場合もあります。これは脳の可塑性(かそせい:柔軟に変化できる性質)によるものです。
親ができるサポート
子どもの利き腕は、自然に決まっていくものです。親としては、どちらの手を使っても困らないよう環境を整えてあげることが大切です。たとえば、左利きの子どもには左利き用のハサミや、文字が書きやすいノートを用意してあげるとよいでしょう。無理に矯正するのではなく、その子が最も自然に力を発揮できる方法を尊重することが、健やかな成長につながります。
まとめ
利き腕は胎児期からある程度の傾向が見られ、遺伝や環境の影響を受けつつ、3〜6歳頃に定まることが多いとされています。脳の構造が大きな役割を担っているため、無理な矯正はかえって子どもの発達に悪影響を及ぼす可能性があります。大切なのは、子どもの個性を尊重し、自然な手の使い方を支えることです。