動体視力は年齢とともに衰えるか
こんにちは、今回のテーマは、動体視力は年齢とともに衰えるかです。
「最近、動くものを目で追いにくくなった」「車や自転車が以前より見づらい気がする」そんな変化を感じたことはありませんか?
視力というと、眼科などで測る「止まっているものを見る力」をイメージしやすいですよね。
しかし私たちの日常生活では、歩いている人、自転車、車、ボールなど、動いているものを見る機会もたくさんあります。
そこで重要になるのが「動体視力」です。
動体視力とは何か
動体視力とは、簡単にいうと動いているものを見分けたり、追いかけたりする能力のことです。
例えば、スポーツで飛んでくるボールを見るとき、道路を横切る自転車を確認するときなどにも関係します。
実は、動体視力は「視力1.0」のような一般的な静止視力とは少し違います。
止まっている文字が読めても、動いている対象を同じように見られるとは限りません。研究でも、動体視力は静止視力とは別の視機能として評価されています。([PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23837257/?utm_source=chatgpt.com))
ポイント
「見える」と「動いているものを正確に見続けられる」は、同じではありません。
動体視力は年齢とともに衰えるのか
結論からいうと、動体視力は加齢によって低下する傾向があります。
826人を対象にした研究では、動く対象を識別する能力は若年期に発達した後、20歳頃から低下していく傾向が報告されています。([PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8022663/?utm_source=chatgpt.com))
また、日本人を対象とした研究でも、前後方向の動体視力は加齢による有意な低下がみられ、横方向の動体視力についても年齢とともに低下する傾向が報告されています。([J-STAGE](https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/51/2/51_153/_article/-char/ja?utm_source=chatgpt.com))
つまり、「昔はスポーツでボールを追うのが得意だったのに、最近なんとなく見づらい」という変化は、単なる気のせいとは限りません。
なぜ年齢とともに動体視力が低下するのか
理由は一つではありません。
加齢によって、目そのものの機能だけでなく、光を取り込む能力やコントラストを捉える能力、目を動かして対象を追う機能など、さまざまな視覚機能に変化が起こります。
特に興味深いのは、動体視力の低下が必ずしも「目だけの問題」とは限らないことです。
動いているものを見るには、目で対象を捉え、その情報を脳で処理し、必要に応じて身体を動かすという複数の働きが関係します。
そのため、「見る→判断する→動く」という一連の能力として考えることが大切です。
日常生活ではどんな場面で関係する?
動体視力というと、野球やテニスなどのスポーツを思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、実際にはもっと身近な場面でも関係します。
車や自転車に乗るとき
交差点で横から近づいてくる車や自転車、道路を横切る歩行者など、私たちの周囲には常に動く対象があります。
そのため、運転や自転車利用では、単純な「視力」だけでなく、動く対象を認識する能力も重要になります。
歩いているとき
駅や商業施設など、人が多い場所では周囲からさまざまな方向に人が動いてきます。
相手の動きを見ながら自分の進行方向を変えることも、日常生活では当たり前の動作です。
スポーツをするとき
もちろんスポーツとの関係も重要です。
ボールの速度や方向を見ながら身体を動かすスポーツでは、動体視力がパフォーマンスに関わります。
「動体視力=スポーツ選手だけの能力」ではありません。
日常生活で安全に動くためにも、動いているものを見る力は大切です。
運動習慣で低下を抑えられる可能性も
ここは、健康の持続時間という視点でも興味深いところです。
加齢によって動体視力が低下する傾向がある一方、運動習慣との関係を調べた研究では、横方向の動体視力などについて、運動習慣のある人のほうが優れていたという結果も報告されています。([J-STAGE](https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/51/2/51_153/_article/-char/ja?utm_source=chatgpt.com))
また、柔道や空手を継続している高齢者では、運動をしていない同年代の人より動体視力が良好だったという研究もあります。([PubMed](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25893472/?utm_source=chatgpt.com))
ただし、これだけで「この運動をすれば動体視力が必ず改善する」とまでは言えません。
大切なのは、年齢を理由に身体を動かす機会を減らしすぎないことです。
動体視力を意識して健康寿命を伸ばそう
年齢を重ねると、筋力や持久力だけでなく、見る・判断する・動くといった能力にも少しずつ変化が起こります。
だからこそ、健康を考えるときには「筋肉を維持する」「体重を管理する」だけではなく、身体を思い通りに動かすための視覚機能にも目を向けたいところです。
動体視力の低下を完全に止めることはできません。しかし、運動やスポーツなどを通じて、見る・判断する・動くという機会を日常生活に残しておくことは、年齢を重ねても活動的に過ごすための一つの習慣になるでしょう。
健康の持続時間を延ばすために。
「見えるから大丈夫」ではなく、「動くものを見て、判断して、身体を動かせるか」という視点も持ってみましょう。
いつまでも自分の足で歩き、スポーツを楽しみ、家族や友人との時間を楽しむ。そのためには、筋肉だけでなく「見る力」も大切な身体の資産なのかもしれません。
